傷は深いぞ、がっかりしろ?

 時代劇で、傷ついた武士を助け起こして、言うセリフは、まず、

「 傷は浅いぞ、しっかりしろ 」 に決まっています。

「 お主は何故あそこで油断したんだ。剣の振り方もあれではいかん。

だからこんなに切られてしまったんだぞ。

ああ、これはいかんな、随分深いぞ。ああ、こりゃ駄目だ 」こんな

言い方があるでしょうか。

レスキュー隊員の場合でも、まず 「 君は何でそんな軽装で冬山に

登ったんだ、危険じゃないか 」とか、「 高速道路でわき見運転なんて、

とんでもないぞ 」などと説教したりはしません。

現場を慎重に見きわめ、技術を駆使して救出作業に全力を挙げる、

これが最優先です。


ところが、「 傷は深いぞ、がっかりしろ 」 に、思わず笑ってしまう方でも、案外、こんな言い方をして相手を追い込んで

いないでしょうか。

「 おまえはいつもだらしがないから、こんな失敗をするんだ 」

「 そんな弱気なことでどうするんだ。もっと自信を持たなきゃ駄目じゃないか 」

「 自分独りで苦労をしょったみたいな顔して、私に当てつけないでよっ。

私だって一生懸命やってるじゃないのっ!」

これでは、根本的な解決はしそうにありません。

原因の分析と指導は、これもカウンセリングの流れの中で、大切な要素ですが、それがまず最初ではないのです。

言葉で整理すると、少し固苦しくなってしまいますが、状況を理解し、問題点を把握する、そして原因を究明して、

その原因から結果に至った軌道を修整する、そうすれば自から正しい結果が再生されてきます。

即ち、調子が狂ってしまった脳のソフトを治す、あるいは入れ換える、ということになる訳です。

この流れを理屈で覚える必要は全くありません。

誰でも感覚的に身につくものですし、又、具体例を伴うと、更に明快に理解できるものです。